いま、国会で審議されている入管法改定案の行方を大いに危惧しています。法案の目的は、日本で暮らす外国人の保護ではなく排除で、従来から続いている外国人を犯罪者、犯罪者予備軍として扱うこととまったく変わりありません。今回の法案はさらにそれを強化していく内容になっています。賛成の立場の議員からは、収容の問題も仮放免の問題も難民認定の話ですら、人道的な観点からではなく治安維持の問題にすり替えられ、因果関係の証明にもなっていない犯罪率データをもちだされた詭弁が展開されています。ある自民党議員からは「除去」という強烈な言葉も出てきて身震いしました。あまりに一方的で、無理筋な、ほころびの多いこの法案が通ることは、だれにとっても息苦しい社会をつくることになります。日本はすでに様々な国や地域をルーツとする人々が一緒に暮らしている、多文化共生社会だということを忘れてはならないはずです。
今から2年前に私たちはエリザベスさんとつながることができました。本当はもっと早くからつながっていれば、という思いすらあります。きっかけは、その年にTV放送されたNHKのドキュメンタリー番組「エリザベス この世界に愛を」を見たことでした。彼女はそもそもFGM(女性性器切除)を逃れるために家を離れ、様々な経緯があって日本に30年以上暮らし、現在茨城県に住んでいる、ということを知りました。以前から日本でもFGM廃絶問題に取り組んでいた者の中に茨城県に住む者がいて、行動につながりました。
仮放免という立場のエリザベスさんが自由に行動できる範囲は同じ県内に限られるため、茨城県在住としての利点を活かして、自分の時間のほぼすべてを他の人々の支援に使う彼女がほっとできるような場所や時間を提供できないだろうか、という素朴な想いで交流がはじまり、友人となりました。そうして、やはり彼女にとって確かな安心感となるのは、何よりも難民認定を得ることであり、それが叶わなければせめて在留特別許可を得ることだと思うに至りました。
「I need visa.(私にはビザが必要なのです)」 エリザベスさんの口から出るこの言葉を改めて重く受け止め、日本で安心して暮らせる基盤をもてるよう、在留特別許可の申請を後押しする署名活動をスタートしました。現在も多くの署名が集まり続けています。エリザベスさんを支援することは、エリザベスさんが支援している難民や仮放免の方々を支援することにつながるのだと多くの方々が思っていてくださる証だと私たちは確信しています。
入管法改定案の廃案と、本来なされるべき人々の難民認定が迅速になされることを強く求めます。
2023年4月22日
with Elizabeth(エリザベスと共に)